2014年2月24日月曜日

オーソドックス過ぎて失敗したのでは?

当方の地元である東大阪市に拠点を置く大阪バスが運行する「高松特急ニュースター号」が2014年2月1日をもって当面の間運休されることとなった。

高松特急ニュースター号は2013年春に天王寺・JR大阪~高松駅を結ぶ高速バスとして開設されたのですが、この大阪~高松間は競合他社が参入している区間で、JR・私鉄系の「大阪~高松線」とフットバス系の「たんなんフットバス号」が競合する路線で両者とも最盛期過ぎて近年は若干減便となり消耗戦が始まりかけているところへの新規参入。
そのため、開業当初から利用率が低迷、週末および連休限りの運行に縮小され、後に屋島への延伸とパークアンドライドといったてこ入れがされたが焼け石に水だったようで、2014年2月1日をもって当面運休という事実上免許維持路線化されたというのが現在に至る。

主な要因は・・・

・着地側となる高松側には大阪バスの子会社が無いのに加え協力事業者が得なかった(あるいは得られない)状況での単独運行であった
・そのため自社以外の発券窓口がネット系やコンビニ端末と限られていた
・ハード面でもソフト面でも競合他社との差別化が出来なかった
・事実上路線バス事業者としては新参者である大阪バスグループの知名度が管轄エリア外において一般的な認知度が低かった

以上のことが大きく足を引っ張った要因とも言る。

さて、大阪バスがどのような事業者か知らない人が多いと思われるので概略を紹介する。

京都府福知山市を拠点とする建設業者である前田工業のグループ会社である前田観光自動車が2002年に大阪市平野区にあった西鉄系の大阪西鉄観光バスの解散に合わせて資産を買収して設立、それと同時に本社と車庫を現在の東大阪市西部へ移転したのが始まりで、2007年には旧クリスタル観光を買収・子会社化し関西以東での主要都市圏に子会社を置くところまで事業拡大され、2011年春から高速路線バス事業に参入。

子会社の北海道バスは札幌~函館という既存事業者がいる区間へ協力事業者としてではなく競合他社として「函館特急ニュースター号」で参入したのに対し、本体の大阪バスは高速バス空白地域である東大阪市の布施と京都を直通で結ぶというニッチなルートで参入。
京都特急ニュースター号」と名乗った京都便は知名度の低さもあって当初こそ苦戦するが、東大阪市西部から京都へのアクセスルートとして認知されだしてからは観光の行き帰りに合致する時間帯で比較的高い乗車率がとれるようになり、東大阪市を含む中河内地区に路線網を持つ近鉄バスがJR久宝寺・近鉄八尾と京都を結ぶ「八尾・京都特急線

2012年春に名古屋便「名古屋特急ニュースター号」を昼行便として、2012年夏には東京便「東京特急ニュースター号」を夜行便として設定、いずれもJR大阪駅桜橋口付近に新設された停留所を経由されることになり、名古屋便は開業からしばらく苦戦を強いられ減便や特定日運行で一時縮小されたが、東京便は程なく定着し満席になることが多い週末およびハイシーズンを中心に増車と増便されるようになった。

2013年には高知便の「高知特急ニュースター号」と本題の高松便「高松特急ニュースター号」が開設、2013年冬には空港アクセスバスの空白地域であった中河内地区に関空リムジンバス「関西空港~東大阪線」を近鉄バス・南海バス・関西空港交通との4社協同運行による新規開設するまでにこぎ着けるなった。

順調だったのは設定された多くが大都市圏を結ぶ路線であり潜在的需要が比較的大きかったことと、そして着地エリア内に子会社があったと言う側面が大きく、四国エリアへの路線は苦戦。
辛うじて残されている高知便も昼行便が廃止され夜行便は週末を中心に運行されているのみ。

その四国エリアの一つである高松便での運休がネットのみで告知されただけで現地の停留所には周知されておらず、当日無予約で利用を試みた人がTwitterに書き込んだことで一気に炎上する騒ぎとなった。

事の顛末は本人のブログに記されている→http://blog.ken-show.net/?eid=898605

この騒ぎとなった数日前から予約サイトでは満席と表示されることがあったそうだ。
そしてその騒動から数日後、無期限運休が公式発表されている。

このことから想像するに、本当は予約状況が芳しくなく梃子入れするも上手くいかず、このまま運行してもジリ貧になるだけであった。
先の要因でも書いたように着地側の協力事業者が得られなず、結論としては運行の継続を断念するしかなかった。
その決断に至る前の段での問い合わせがあったことが予想外だったのか?そこでの対応がグダグダになった。

結論からすると大阪バスグループは四国へ事業拡大の足がかりを作るのに失敗したと言うことではないのか?

既存事業者が参入済みでしかもパイの食い合い化されているエリアへの単独参入となると差別化が図られない限りダメとも言える。
実際に観光バス系事業社でも高速路線バスではソフト・ハード面の差別化を図るのに腐心しているのに対し、大阪バスの参入スタイルはソフト・ハード面において極めてオーソドックス過ぎなかった。

だからこそ失敗したのではないかと思ったのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿